この恋を叶えてはいけない
 
自分が言葉を発する前に、相手から尋ねられた質問。


ああ、やっぱりこいつが、唯香のストーカーだな……。


と陵は即座に判断した。


それなら威嚇しないといけない。

陵は真っ直ぐと相手の男を睨みつけると、




「唯香の男やけど。

 お前こそ誰や」




ドスの聞いた声で返した。

 

相手は目を見開いて驚いていて、
なんとなく視線が部屋の中へうつっている。


部屋の中からは、唯香がシャワーを浴びている音。

ほのかに香るシャンプーの匂い。



男は体の力を抜くと、




「………いや、なんでもない。

 部屋を間違えだけだ」





と言い、その場から去って行った。
 
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