この恋を叶えてはいけない
 
「唯香ちゃん、待ってたよ」

「えっ……」


そこにいたのは、どこかで見たことがあるようなないような、30代くらいの男の人。

だけど瞬時に分かった。


ストーカーをしているのは、この男だ……。


「俺のこと覚えてる?
 ずっと唯香ちゃんのいるお店でお弁当を買ってたんだけど」

「……っ」


なんとなく思い出していく、3年前のバイト先。


ああ……
この人は、あのお弁当屋さんの常連さんだ……。


「ずっと君のことを見てたのに、急に辞めちゃうなんて……。
 探したよ……。唯香ちゃんを探すの……」

「……」


呼吸を荒くした男は、徐々にあたしとの距離を詰めていく。


大声を出したいのに、怖くて声も出ない。
 
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