この恋を叶えてはいけない
タクシーで予約していたホテルに向かって、フロントで手続きをする。
会社で用意してくれたホテルは、当然別室で、
だけど隣同士の部屋で手配されていた。
「ここが唯の部屋や」
「……はい…」
案内された部屋は、特別ゴージャスなものでも、古びた部屋でもない。
ごく普通のビジネスホテルだ。
「俺は隣の部屋やから。
何かあったら呼んでな」
「はい」
一言挨拶をして、一人部屋に踏み入れた。
久しぶりに一人になる。
なんだかもう……
心がぐしゃぐしゃだ。
いつかこうなると分かってた。
あの日、駿とお別れをした日から……
あたしが駿じゃない別の人を求めるように
駿もあたしじゃない人を好きになると。
だからこれは……
至極当然のこと。