この恋を叶えてはいけない
 
タクシーで予約していたホテルに向かって、フロントで手続きをする。

会社で用意してくれたホテルは、当然別室で、
だけど隣同士の部屋で手配されていた。


「ここが唯の部屋や」
「……はい…」


案内された部屋は、特別ゴージャスなものでも、古びた部屋でもない。

ごく普通のビジネスホテルだ。


「俺は隣の部屋やから。
 何かあったら呼んでな」

「はい」


一言挨拶をして、一人部屋に踏み入れた。


久しぶりに一人になる。

なんだかもう……


心がぐしゃぐしゃだ。



いつかこうなると分かってた。

あの日、駿とお別れをした日から……


あたしが駿じゃない別の人を求めるように
駿もあたしじゃない人を好きになると。


だからこれは……


至極当然のこと。
 
< 247 / 326 >

この作品をシェア

pagetop