この恋を叶えてはいけない
 
「あれ?」


マンションについて、エレベーターを上がると、いつもと違う光景に気づいた。


「お隣さん、入ったんだね」
「ん?あ、ほんまやなぁ」


いつも、ドアのところには、水道ガス等の案内が入っている袋がぶらさがっている。
だけど今見ると、そこには何もなくなっていて……


「どんな人が入ったのかな?」
「さてなー。
 なんなら、引っ越しの挨拶行ってみる?」
「そういうのは、引っ越してきた相手がするものでしょ」
「じゃー、そのうち来るんとちゃう?」


気になっているあたしとは裏腹に、陵はあまり興味なさそうで、じっと隣の部屋のドアを見ているあたしをよそに、さっさと鍵を開けていた。

 
あたしの気になりの願いが叶ったのか、隣の部屋からもカチャリと鍵が開く音が聞こえる。

思わず中に入ろうとした足を止めて、じっと見つめていた。


だけどそこから現れた人物に
呼吸をするのも忘れるほどあたしは目を見開いた。




「な、んで……」


「え?……!?」




相手もあたしと同じように、目が合った瞬間固まってしまい……






「駿……」






そこにいたのは、駿だった。
 
< 266 / 326 >

この作品をシェア

pagetop