この恋を叶えてはいけない
 
「あ、悪い」


と、すぐに布巾をよこしてくるのは駿。

どうやら、駿が飲み物をこぼしたらしい。


「お前なー。
 なんでよりによって、俺のやつをこぼすんだよ」

「あー、ちょっとそこの枝豆がほしくて」


こぼされた飲み物は、そんなに中身が入っていなかったからそこまで大げさにこぼれなかったけど、三沢さんのズボンに軽くビールが滴っている。


「ここ、片づけてる間に、ちょっとトイレで拭いてこいよ」
「いいよ、べつにこれくらい」
「お前、ビール臭い男は嫌われるぞ」
「……イッテキマス!」


その言葉に、三沢さんはすぐに立ち上がってトイレへと向かった。



拭くためなのか、駿は自分の席を移動してこっちに移った。

そしてあたしの隣に座る。


「大丈夫?服にこぼれてない?」
「あ、あたしのほうは大丈夫………です」


いつものようにタメ語で話そうと思ったけど、ここでは初対面設定。

慌てて、敬語を付け足した。
 
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