この恋を叶えてはいけない
 
「駿っ、駿ってば!!痛いってっ……」


無言のまま足早に連れてこられて、手首がじんじんと痛くなる。


とっくにポカンとするみんなの姿は見えなくなっていて、あたしは引き留める力を強めた。


「あ……悪い…」


駿もようやく我に返ったのか、歩くのをやめ、掴んでいた手を放す。
急に軽くなった手が、なんだかさみしくも感じた。


「なん、なの……急に……」


ドキドキしてしまっていることを悟られたくなくて、あえて可愛くない言葉を選ぶ。
 
 
「……母さんが心配すんだろ。
 あまり遅くなると」

「何それ……。
 今日、お母さんは夜勤だから帰ってこないし」

「だからってっ……」

「こんなのいつものことだよ!
 そのことはお母さんだって知ってるし、早く帰ってくる日は一緒にご飯食べたりしてる!
 駿に何が分かるの!?」


連れてきた理由が、お母さんだと知って、自分の中で苛立ちを感じてる。


そうじゃない。
そんな言葉を言って欲しかったんじゃない。


駿はバツが悪そうに目を逸らすと、



「そうだよな。

 お前ももう19なんだし……
 妹の恋愛邪魔して、バカみてぇだな」



自分をあざ笑っていた。
 
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