俺様副社長に捕まりました。
「なあ・・・一生に一度くらいすげーわがままになってもいいんじゃない?」
「え?」
「どうせ私なんかとか家政婦だからとか・・・そんなもの全部とっぱらってさ
俺から離れたくないとか・・ずっと一緒にいたいとか・・・・そのくらいのわがまま言ってくれよ。
俺が全部受け止めてやるから・・・・っていうか俺がお前を離すつもりないから」
そう言って水沢さんは握っていた手を引っ張ると私を抱き寄せると
腰に手を回し私のお腹辺りに顔をうずめた。
「水沢さん・・・・・」
「俺はもうお前を悲しませたり泣かせたりしない。だから俺のわがままを聞いてくれ」
腰に回された腕が離れ水沢さんはすっと立ち上がるとすっと目を細めながら私の頬に手を宛てた。
「ずっとそばにいてくれ・・・・もう急に俺の前から姿消さないでくれ・・・・」
目頭がかーっと熱くなって口元が小刻み震えだし、心臓のドキドキは更に大きくなった・・・
言葉を口に出したいのにうまく出せない。
だってきっと私はすごくわがままなこと言ってしまう。
ずっとこの数ヶ月水沢さんを好きになるのをやめようって決めてたのに
自分の嫌な部分だってたくさん見せたのに・・・・
「・・・・ずるいよ」
「桃花」
「なんでそんなに優しいのよ。嫌いになってくれた方が楽だと思って逃げたのに・・・もっと
私を罵ってくれたら・・・嫌いになってくれたら・・・・楽だったのに・・・・わがまま言ってとか
ずるいよ」
大粒の涙が目にいっぱい溜まって瞬きしたら一気に溢れ出しそうで
口を固く真一文字にして必死に堪えた。
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