最後の恋にしたいから
本当、こんなことになったのも、寿人にフラれてしまったからだ。

心が鉛みたいに重くて、出てくる笑顔もすぐに消えてしまう。

だけど、そんな事情はまるで課長には関係ない。

きっと帰り道にたまたま私を見かけて、放っておけなかったんだと思う。

その優しさをここまで巻き込んでしまったのだから、落ち込まずにはいられなかった。

「いいから、早く入ってこいよ。さっきから、謝ってばかりじゃないか。オレは本当に何とも思ってないから、気にせず体を温めろって」

「はい……。ありがとうございます」

課長の優しさに、ようやく服を脱ぎシャワーを浴びた。

確かに、もうすぐ7月になるとはいえ、雨はまだ肌寒い。

ましてや濡れた服を着ていて、自覚以上に体は冷たくなっていた。

「本当に、課長には感謝だわ」

熱いシャワーをかけながら、寿人との思い出も少しづつ流していく。

早く忘れなくちゃ。

あんな、最低なヤツのことなんか……。
< 20 / 112 >

この作品をシェア

pagetop