最後の恋にしたいから
もう一回って……。

今でも、かなり勇気を持って言ったんだから、それをもう一回だなんて恥ずかしすぎる。

「恥ずかしいですよ」

と正直に答えると、課長はさらに口角を上げて微笑んだ。

「オレは、もう一回言って欲しいんだけどな。それに今日一日、オレをどうやって呼ぶつもりなんだよ?」

「えっ? そ、それは……」

今さら、『課長』と呼ぶのも可愛げがない。

だけど、あんまり名前を連呼するのも恥ずかしい。

恥ずかしいけど……。

「祐真さん……」

照れ隠しもあって、今度は睨みがちに言うと、課長はケラケラと笑った。

「な、なんで笑うんですか⁉︎」

人が勇気を振り絞って言ったというのに。

自分でも顔が赤くなっているのが分かる。

肩から上だけが妙に熱い。

すると、課長は笑いを抑えながら私を見たのだった。

「ごめん、ごめん。そんなに緊張するんだなって思って」
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