最後の恋にしたいから
課長を起こしてしまったかとベッドを振り向くと、まるで聞こえていなかったようで眠っている。

「良かった」

ホッとしてバッグから飛び出したスマホのライトを点け、落ちた箱をかたづけようとした時だった。

さらに小さな箱があり、フタが開いた弾みで中身が出ていることに気付いた。

そこには、数枚のハガキにレター封筒、それに写真が入っていて、一番驚いたのは小さなビニールの袋に入った指輪があったこと。

「何、これ……」

それはシルバーの指輪で、中央にはダイヤらしき宝石が光っている。

どう見ても高そうな物で、どうしてこんなものを課長が持っているのか、その疑問も写真でなんとなく解決した。

「この人、もしかして元カノ?」

写真は、タイの世界遺産のアユタヤで、大きな仏塔をバックに、課長と女性が立っているものだ。

二人とも笑顔で、女性は小柄で可愛らしい雰囲気の人。

課長の腕に自分の腕を絡ませていて、左手薬指には指輪がはまっていた。

「たぶん、同じ物だわ……」
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