オレンジロード~商店街恋愛録~
配達先をまわり、戻ってきた頃には昼前だ。
だからそのまま昼食を取ろうと思ったが、どうにも食欲がなかったため、軽食にしようと『喫茶エデン』に入ったのだが。
「うわっ、レイジじゃん!」
何とも間が悪いことに、ハルに遭遇してしまった。
ハルはカウンターで読んでいた新聞を置き、
「ちょうど、お前に話があったんだよ」
と、言う。
「実はさ、俺、商店街の青年団の団長になったんよ。で、お前、手伝ってくんねぇ?」
予想通りな上に、実にストレートに聞いてくる。
おかげで、余計、食欲が減退した。
それでもレイジは、断る隙を探すべく、
「手伝うって、具体的にはどんなことを?」
と、聞いた。
すると、ハルはあたためていたプランでもあったのか、にやりと笑い、
「今、マスターとも話してたんだけど。ほとんど使ってないイベントスペースを有効活用しようと思って。まずは手始めに、俺の知ってるダンスチームを呼ぶ」
「………」
「10時からと14時からの2部でショーをしたら、待ち時間の間に演者も関係者も客も、商店街で飯食ったり買い物したりするだろ? それで売上と認知アップに繋がるわけだ」
「………」
「夏には浴衣イベントとか、冬にはクリスマス企画とか色々考えてんだけど。まぁ、そういう感じで俺の補佐とかしてほしくて」
あぁ、こいつは本気だ。
ハルの、この商店街に対する愛がひしひしと伝わってくる。
だからこそ、レイジは簡単には断れなくなってしまった。
「わかった。でも、ちょっと考えさせて」