オレンジロード~商店街恋愛録~


配達先をまわり、戻ってきた頃には昼前だ。

だからそのまま昼食を取ろうと思ったが、どうにも食欲がなかったため、軽食にしようと『喫茶エデン』に入ったのだが。



「うわっ、レイジじゃん!」


何とも間が悪いことに、ハルに遭遇してしまった。

ハルはカウンターで読んでいた新聞を置き、



「ちょうど、お前に話があったんだよ」


と、言う。



「実はさ、俺、商店街の青年団の団長になったんよ。で、お前、手伝ってくんねぇ?」


予想通りな上に、実にストレートに聞いてくる。

おかげで、余計、食欲が減退した。


それでもレイジは、断る隙を探すべく、



「手伝うって、具体的にはどんなことを?」


と、聞いた。

すると、ハルはあたためていたプランでもあったのか、にやりと笑い、



「今、マスターとも話してたんだけど。ほとんど使ってないイベントスペースを有効活用しようと思って。まずは手始めに、俺の知ってるダンスチームを呼ぶ」

「………」

「10時からと14時からの2部でショーをしたら、待ち時間の間に演者も関係者も客も、商店街で飯食ったり買い物したりするだろ? それで売上と認知アップに繋がるわけだ」

「………」

「夏には浴衣イベントとか、冬にはクリスマス企画とか色々考えてんだけど。まぁ、そういう感じで俺の補佐とかしてほしくて」


あぁ、こいつは本気だ。


ハルの、この商店街に対する愛がひしひしと伝わってくる。

だからこそ、レイジは簡単には断れなくなってしまった。



「わかった。でも、ちょっと考えさせて」
< 117 / 143 >

この作品をシェア

pagetop