オレンジロード~商店街恋愛録~
考えなければならないことは、山ほどある。

自分たちのことだけでも手一杯なのに、なのに商店街のことまでなんてと、思うだけで気が滅入って。


目を伏せて言うレイジに、ハルは、



「どうした? お前、顔色悪いぞ?」


だからって、言えるわけもなく、レイジは「うん」と曖昧に誤魔化したのだが。



「風邪か? 最近、朝晩は寒くなったもんなぁ。あ、雪菜ちゃんも今日、風邪引いて休んでるって斉木さんが言ってたぜ」


知ってるよ。

と、喉元まで言葉が出掛かるが、すんでで止めて、「そっか」と言うに留めた。


この町で、雪菜と付き合っていることを隠す意味があるのかはわからないが、でも今更どう言っていいのかもわからず、レイジはそれすらも心苦しく思ってしまうのだ。



「まさか、何かの病気とかじゃないよなぁ?」

「うん。……大丈夫」


言葉少なのレイジに、ハルは神妙な顔をし、



「お前、ほんと秘密主義っつーか、自分のことは何も話さないよなぁ。俺は別にそれでもお前のことを仲間だと思ってっけど、いい加減、ちょっと寂しいぞ?」


そんな風に言われて、嬉しくないわけではない。


でも、ひとりで生きていた頃は、こんなことでは悩まなかった。

だからこそ、どういう距離を保てばいいのかが、レイジにはわからないのだ。



本当は雪菜と付き合っている、駆け落ちしてこの町にきたんだと、言ってみんなとの今までの関係が変わるのも怖いから。



「ありがとう。でも、ごめんね、ハル」


やっぱり言えないまま。

レイジの声は、わずかにかすれていた。

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