オレンジロード~商店街恋愛録~
元々、そう体の強くない雪菜を働かせ、養ってやることすらできない、不甲斐ない自分。

と、いうか、そもそも駆け落ちなどしなければ、雪菜をこんな風に苦しめることはなかったのかもしれない。


レイジはひどい自責の念に襲われて。



「ごめん、ほんと」


声が震えた。

雪菜はそんなレイジをいぶかしく見て、



「どうしたの?」


と、問うてくる。



「何でレイジが謝るの?」

「だって、俺が雪菜に苦労させてるから」

「私、苦労してるなんて思ってないよ。今のこの生活、すごく楽しいと思ってる」


優しい雪菜。

出会った頃から、それは今でもずっと変わらない。


でも、だからこそ、レイジは逆に我慢させているのではないかと思ってしまうのだ。



しかし、雪菜は言う。



「支え合うって、こういうことを言うんだなぁ、って。だから、私は、ふたりでこの町に来てよかったと思ってるよ」


握り返された手。

泣きそうな顔で笑ったレイジを見て、雪菜もふっと笑みをこぼした。



「ねぇ、レイジ。言霊って知ってる?」

「……『言霊』?」

「人が発した言葉には魂が宿るって昔から言われてるの。だからね、弱気なことばっかり言ってたら、それに飲み込まれて、本当にそうなっちゃうんだよ」

「………」

「レイジは『ダメな男』じゃない。私の大切な人。だから、胸を張らなきゃダメだよ」


さとすように言う雪菜に、レイジは「そうだね」と返した。
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