オレンジロード~商店街恋愛録~
「俺、ちょっと弱気になってた」


苦笑いして、



「頑張らなきゃね」


噛み締めるように言う。

しかし、きょとんとした雪菜は、



「どうして? レイジはもう十分、頑張ってるじゃない」

「うん。でも、もっと頑張るよ」

「………」

「頑張らなきゃ、雪菜をお嫁さんにできないから」


レイジの言葉に、雪菜は一瞬、間を置いて、しかし次には噴き出したように「あははっ」と笑った。

まさかここで笑われるとは思っていなかったレイジは、



「何で笑うかな。遠まわしにプロポーズしてんだよ? 普通、こういう場面って、嬉し涙を流したりするもんじゃないの? そうじゃなくても、せめて、照れて見せるとかさぁ」

「ごめん、ごめん。嬉しいんだよ? でも、昔のことを思い出したら、別人みたいで」


雪菜はそれでもまだ、笑いがこらえられないようだった。

レイジはふてくされる。



「もう二度と言わない」


背を向け、立ち上がるレイジ。

雪菜はその背に向かって、



「ありがとう。おかげで元気になったよ」


と、言った。



敵わないなと思う。

同時に、本当に愛しいな、とも。


レイジは肩をすくめ、



「寝てな。お粥、作ってくるから」


笑いながら寝室を後にした。

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