オレンジロード~商店街恋愛録~
掃除をしているうちに、何だか気分が乗ってきた結は、窓を拭き、隣の部屋に溜まっていた洗濯物を畳み、洗い物までしてやった。
あたし、案外、主婦とか向いてんのかも。
何だか、焦って仕事を探すよりも、結婚相手を探した方がいいのかもしれないとまで思えてきた。
しかし、昼前になり、顔を覗かせたハルは、部屋の光景を見るなりぎょっとして、
「な、何やってんだよ、お前は」
「掃除とか色々と。やってるうちに、あっちもこっちも気になってさ」
あんぐりと口を開けたハルは、
「飼い主探しはどうした」
「……あ」
「しかも、お前、職探しだってしなきゃいけない身だろ? 俺は家政婦を雇ったつもりはない。親切心だって言うなら、ありがた迷惑だから」
「だって、あたし……」
言い掛けたが、ハルの方が正しいと思い直した。
結は泣きそうになりながら、「ごめんなさい」と呟いた。
ハルは困った顔で肩をすくめ、
「まぁ、いいよ。それより、飯行くぞ」
「えっ」
「店は午後から休むことにしたから。どうせこんなことだろうと思ってたし、お前に任せてたら100年経っても飼い主が見つかりそうにないからな」
ひどいけど、やっぱりそれすら否定できない。
「お店休んで平気なの?」
「ひとりでやってるおかげで、俺はこの15日間、休みなしなんだよ。だから、たまには許されるだろ」
ハルがいいと言うならいいのだろう。
結は深く考えないことにして、家を出るハルの後に続いた。
こんな状況なのに、のん気にデートしてるみたいだとか思ってしまう自分の馬鹿さ加減には呆れ返るのだけれど。