イケメン同期に素顔を見抜かれました



中に入ると、カーン、カーン、と心地よい金属音が聞こえてきた。

受付の男性が、こちらを見て軽く手を上げる。

「久しぶりだなあ、櫂」

「お久しぶりです」

男性と目が合って、私も小さく会釈をする。

「珍しいなあ、櫂が女連れてくるなんて」

「会社の同期なんですよ。彼女ソフト部だったらしいんで、今日は勝負しようかと」

「は? ちょっと待ってよ。勝負って?」

「昼飯かけようよ。負けた方が勝った方にごちそうする。そうだなあ、ホームランたくさん打った方が勝ち。オッケー?」

「オッケー? じゃないわよ。私バット握るの久しぶりなんだから」

「俺だって久々だよ?」

慌てる私とは反対に、涼しい顔をしている有村。

「ここ、ソフト用の打席もあるから崎坂はそっちに立てばいいじゃん」

「いや、そういう問題じゃなくてね……」

「あ、崎坂俺に負けるの怖いんだ?」

その一言に、私の動きがピタリ、と止まる。

「……え?」

「自信ないから嫌がるんだろ? しょうがねぇなあ。ハンデつけてやろうか?」

なんか、悔しいぞ。

このまま言われっぱなしは、悔しい。

心の中で、メラメラと闘志が湧いてくるのがわかる。

「わかったわよ。勝負しましょう! 絶対負けないからねっ!」

あぁ、有村に乗せられた。

そう気付いたのは、言い切った私の姿に満足そうに微笑む有村の顔を見た時だった。




「悔しい~っ!!!」

「結構いい勝負だったんだけどな」

「……わずか2本差。もう悔しくて私、眠れないかも」

大げさだな、と有村が笑う。

その姿にときめく気持ちと、負けて悔しい気持ちが入り混じって、何とも言えない表情の私。




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