イケメン同期に素顔を見抜かれました
あれだけ「おごってもらうぞ」って言っていたにも関わらず、結局有村は、私の分まで支払ってくれた。
「全部払ってもらうわけにはいかないから!」と私が言って聞かなかったので、後で少しは受け取ってくれたけど、間違いなく有村の方が多く払ってくれているに違いない。
ランチを終え、私たちは海浜公園へやってきた。
ここも、有村の学生時代の思い出が詰まっている場所、らしい。
「男同士で集まってさ、バカ話してたんだ。あ、時々真剣な話もしてたけどな?」
「わかるなあ。私も近所の公園で友達と集まって色んな話してたもん」
「あの時間って、今思うとすごく貴重な時間だったんだよなあ」
海を見つめる有村の横顔をそっと見つめる。
野球少年だった有村は、どんな学生時代を過ごしていたんだろう。
友達と、どんな話をしていたの?
毎日の楽しみは何だったの?
その頃の夢は?
……好きな人はいたのかな。彼女はいたのかな。
今日、少しだけ有村の昔に触れてしまったことで、もっともっと彼のことが知りたくなっている自分に気付く。
反面、これ以上知ってしまったらダメ、ともうひとりの自分が警告を出す。
有村の事を知れば知るほど、私の中での気持ちが大きくなってきてしまうから。
大きくなってしまったら、傷も深くなってしまうから……