イケメン同期に素顔を見抜かれました



紗希の家の前に着きインターフォンを鳴らす。

「ごめんね、芽衣。急に呼び出して」

「いいよ、別に。用事なんかなかったし」

玄関先で靴を脱ぐ私をじっと見つめていた紗希は、やはり鋭い。

「何かあったでしょ?」

「……申し訳ないけど、紗希の用事がキャンセルになってホッとした」

何よ、それ。

口を尖らせる紗希に有村との一件を告げると、紗希は小さくため息をついた。

「芽衣はホントに素直じゃないわねぇ。そこで『私も好き、だから待ってる』って一言言えばよかったのに」

「それ言えたら私、今頃こんな苦労はしていないと思うけど」

「だろうね」

紗希が笑ってくれるから、私も小さく微笑みを返す。




「でも、今日は無理でもちゃんと素直になったほうがいいと思う」

「うん……」

煮え切らない私の返事に呆れながらも、紗希はトン、と肩を叩いて励ましてくれた。





翌日。

お母さんの宣言通り、お姉ちゃんと慎くんの結婚おめでとう会が行われた。

東京から戻ってきたお姉ちゃんは、ひとりで二家族からの祝福を一手に引き受けなくちゃいけなくて。

女性陣からの容赦ない質問と、酔っぱらった男性陣からの絡みにも、ニコニコ笑って答えていた。

そんなお姉ちゃんを見つめながら、これが幸せなオンナの余裕なのかなあ。

なんて思う私はひねくれているなと自分でも感じる。

有村との一件もあって、余計にひねくれちゃっているかも知れない。




結局、紗希にあれだけ言われたにも関わらず、有村に返事はしていなくて。

有村からも特に連絡は入ってきていない。

真理ちゃんとはどうなったんだろう。

有村が私を好き、って言っていたのはホントなのかな。

信じていいのかな。

聞きたいことはたくさんあるけれど、勇気が出なくて聞くことができない。

ああ、私は本当に素直じゃない……




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