初恋の君は俺を忘れてしまいました。
「ねえ・・・昂?」


「ん?」


「昂はさ・・・高校どこ行くの?」


「ん・・・決めてないさ」


「そっか・・


「でも、一個だけ条件ならあるかも。」


「え、なに?」


もしかしたら、これで高校絞れるかも・・・


「お前と一緒の高校。」


「え?」


「・・・いやか?」


「いや・・・じゃない。」


(むしろ嬉しい‼)

少し前を歩く昂の耳は少し赤くなっていた。


自分で言って自分で照れてるらしい。


そんな昂の姿を見てしうと、あたしまで照れてしまう。


昂はときどきすごく嬉しいことを言ってくれる。


そんな昂に私は一生かなわない。


それから話をしながら靴箱、教室と二人で向かう。


もちろん、一年のときは妬みがあった。


同級生だけでなく、先輩からもときどき呼び出しがあった。


でも、そんなで止められる気持ではなかった。


教室に入れば昂は男女問わず何人かに囲まれる。


この光景も三年間変わらない。


でも、昂は人が変わったように大勢の前では話をほとんどしない。


私はその光景を見慣れてしまったからか、気にとめず席に着く。

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