初恋の君は俺を忘れてしまいました。
「・・・俺は、俺が嫌われてると思ってた。父さんがいて、美羽がいて、俺はいらないも同然だったから・・・」


「それは違うわ。美羽や、涼さんと同じくらい昂君のこと大事よ」


「・・・そっか。俺ら、ちゃんと向き合わなかっただけで、全然すれ違ってなんかいなかったんだ」


「・・・そうね。本人の私たちよりも早く気づいちゃうなんて、すごい子ね」


「?」


「沙菜ちゃん。昂君がご飯作ってくれてる間に少し話をしたの。沙菜ちゃんは、私たちが勘違いをしてるだけだって言ってたわ。ちゃんと向き合わなきゃって。」


「・・・そっか」


沙菜にはなんでもお見通しなだな。


「俺・・・うちに来てくれたのが美羽と母さんでよかった。本当は嬉しかった」


母さんは俺の言葉に涙を流した。


俺はそんな母さんの小さな背中を優しくさすった。


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