初恋の君は俺を忘れてしまいました。
その日から、沙菜はどこかへ行った。


家はもぬけの殻で、あるのは抜け殻のような家と赤いポスト。


その家さえも、もう売り物件になっていて。


沙菜との約束通り、ポストを開けると、何百枚という封筒がポストの隙間から雪崩れるように
落ちてきた。


俺はその一通、一通を拾い上げた。


その封筒に書いてあるのは俺の知っている名前ばかり。


沙菜の仲のよかった友達宛て。


その中から一枚だけ色の違う封筒を見つけ宛名を見る。


昂へ。


そう書いてあった。


俺は沙菜の家・・・だった玄関の階段に腰掛け、ゆっくりと封筒を開いた。

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