ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛







「香月くん、よく来たね。

待っていたんだよ」




私が担当している中で、一番のベテラン作家である嶋田先生。



玄関のチャイムを鳴らした瞬間、満面の笑みで私を出迎えた。




その笑顔の裏に下心が隠されていることは、もちろん分かっている。



でも、私は素知らぬふりをして、にっこりと極上の笑みを浮かべる。




「嶋田先生、ご無沙汰しておりました。

お忙しいところ、真栄社のためにお時間をとっていただき、ありがとうございます」




『私のために』ではなく、『真栄社のために』と言ったのは、いちおう予防線のつもり。



ある程度は気を持たせておいて、でもちゃんと一線は画しておかないと。


そうしないと、あんまり付け上がらせて調子に乗られてしまったら、こっちに災難が降りかかる可能性もある。




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