ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
先生はうんうんと頷きながら、さらに距離を縮めてきた。



いつの間にか、背中に手を回されている。



しわしわに筋張った掌が、私の腰のあたりをかすめるように撫でた。




ぞっ、と背筋が寒くなる。



でも、もちろん顔になんか出すわけがない。




私はここぞとばかりに妖艶な笑みを浮かべ、囁くような声に切り替えた。




「…………私、昔から先生の大ファンなんです。

先生の新作を、しかも、今までに書かれたことのないような斬新な作品を、誰より早く読めたら………。

なんて、叶いもしない夢を見ているんです………」




小さく吐息を洩らすと、先生がにんまりと笑うのが分かった。




「そんなに言うなら、まぁ、君の顔を立ててやってもいいがねぇ………」




意味深な口調で私を一瞥する先生。




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