ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
私は若さを強調するような高い声で、



「本当ですか? 嬉しい!」



と言って手を叩いた。


男というアホな生き物は、若い女の甲高い声が大好きなものなのだ。




「まぁ、考えてみるよ、うん………」




私の思惑どおり、にやにやと笑いながら、先生は腰を撫でる手に力を込め、



「他でもなく、君のためにね……」



と恩着せがましく繰り返す。





ーーーこの色ボケ爺いめ。


あんたの小説なんて、いまや黴が生えたようなものよ。


古臭くって読めたもんじゃない。



でも、ね。


同じように黴の生えた古びた爺いだとか、ミーハーなだけの婆あたちが、馬鹿の一つ覚えみたいに買ってくれるから。



だから、どこの出版社も、あんたの本を売りたいだけ。


保守的な固定客から金を搾り取るため、それだけ。




私は心の中で毒づきながら、黙って身体を触らせておいた。







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