ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「食事、ですか………」



『最近、いいレストランを見つけてね。

ぜひとも君に食べさせてあげたいな、と思ったんだよ。

あぁ、今夜は都合が悪いかい?』



「いえ、そんなことは」




来た、と思った。


とうとう来た。



そういう目で見られているのは分かっていた。



嶋田先生が小説の中で描く女性像と、私のキャラクターは、ぴったり合っていたから。


先生の好む女性の要素ーーー美しさ、妖艶さ、高潔さ、才気、優しさーーーを私は兼ね備えている。



と、いうか。


先生の前で、私は、そういう女性を演じているのだ。


先生の本を読み込んで、先生が求める理想の女性になりきっている。



そうやって先生の心をつかみ、私の虜にさせることで、真栄社から本を出してもらうため。




汚いやり方だということは分かっている。


でも、この仕事では、結果が全てだから。


そして、仕事で結果を出すことが、私の生き甲斐だから。




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