ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
虹色に輝く透明な膜がふわりと膨らみ、光る球体になって、ぱっと輪から離れる。


そして、やわらかい風に乗って、ゆっくりと空へ昇っていく。




「しゃぼん玉………」




私は思わず呟いた。




「そうだよ。

男が探していたものは、これだったんだ」




先生がにっこりと笑い、さらに息を吹きかける。



光を孕んだしゃぼん玉が、ぽぽぽ、と次々に放たれた。




私は口を半開きにして空を仰ぐ。



視界いっぱいに広がる青空に、無数のしゃぼん玉が漂う。



今日はあまり風がないからか、ほとんど弾けずに、空を埋め尽くしていった。



たくさんのしゃぼん玉が太陽の光を反射する。



ピンク、青、紫、オレンジ、緑、黄色。


数え切れないほどの光の粒が空に散らばっていく。



まるで、海面にのぼっていく光の泡を、海の底から見上げているような気持ちになった。




「………きれい」




無意識の呟きが洩れる。



これが、先生からのプレゼント。


こんなにも美しいものを私にくれた男は、誰もいなかった。




ふいに目頭が熱くなって、涙が溢れた。




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