ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
野口さんが、手帳のリーフを一枚、私のほうに差し出した。


軽く会釈をして受け取る。



そこに走り書きされていたのは、先ほどの資料に載っていたものとは違う、5つの住所と、3つの電話番号。




「………どういうことですか?

朝比奈先生は都内に6つもご自宅があるってことですか?」



「いや、違うんだ。

それは、朝比奈先生が親しくしておられる女性のご住所だよ」



「………は?」



「つまり、まぁ………朝比奈先生とお付き合いしている方々」




私は返す言葉もなく、呆然としてしまった。




「な………5人の女性と交際しているってことですか?」



「うん、まぁ、そういうこと」




野口さんが微妙な笑みで答えた。




「朝比奈先生がご自宅にいらっしゃらないときは、そのうちのどれかの住所に行けば、たぶん会えるから。

あと、電話番号のほうは、出版社からの連絡を快く取り次いでくれる、協力的な女性の番号。

捜索が大変だろうけど、頑張ってね」




野口さんはそれだけ言って、自分の仕事に戻った。




< 47 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop