ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
私はこっそりと深呼吸をして、気合を入れ直す。


にっこりと笑い、でも少し申し訳なさそうに眉を下げて、朝比奈先生に向き直った。




「朝比奈先生、あのときには大変な失礼をいたしました。

ちょっと飲み過ぎてしまって、酔っていたんです。

本当に失礼いたしました」




私がそう言って深々と頭を下げると、朝比奈先生はきょとんとした顔になる。




「え? なんで謝るの?

ていうか俺、なんか失礼なことされたっけ?」




………あぁ、よかった。


朝比奈先生が変な人で!



私はほっとして、




「いえ、お気にならさっておられないなら良かったです」




と言い、カードケースから名刺を出した。




「改めまして………わたくし、真栄社の文芸編集部から参りました、香月と申します。

急なんですが、野口から引き継ぎをさせていただきましたので、以後、よろしくお願いいたします」




私が名刺を差し出すと、朝比奈先生はぱっと受け取り、じっと見つめる。



次の瞬間。




「えっ!? 君、智恵っていうの!?」




朝比奈先生の顔が、花開くようにぱっと輝いた。




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