ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「うわあ、信じられない。

なんてことだ!

こんなことってあるんだね!」




興奮したように言いながら、朝比奈先生はテーブルの上にあった紙を手に取り、さらさらと何かを書いた。




「これ、俺の名前。もちろん本名だよ」




そう言って、その紙のかたわらに私の名刺を並べる。




『朝比奈 光太』


『香月 智恵』




あぁ………なるほど、そういうことね。




「なんてロマンチックなんだ……!

俺たち、まるで高村光太郎と智恵子みたいじゃないか。

これって、運命の出会いだと思わない?」




朝比奈先生はきらきらとした瞳で私を見つめてくる。


でも、私はソウコさんのほうが気になって仕方がない。



恋人の部屋で、その恋人が真横にいるのに、別の女に「運命」だなんて、失礼にもほどがあるわ。


さすがの私も申し訳なくて仕方がない。




「何をおっしゃっているんですか、朝比奈先生。

ただの偶然ですよ。

智恵なんて、別に珍しい名前じゃありませんし。


そんなことより、さっそくですけど本題に入らせていただいてもよろしいでしょうか?」




わたしはにっこり微笑み、きっぱりと切り出した。




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