ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
散乱していた物を一箇所に集め、足の踏み場が確保されると、

ほとんど使われた形跡のない掃除機を引っ張り出してきて、部屋中の埃を吸わせた。



全ての片付けを終えてから、私は朝比奈先生の前に腰をかける。




「智恵子、お疲れさま。

とてもきれいになったね」




先生は上機嫌に私を労ったけど、私は硬い表情で訊ねる。




「先生………あなたは、もう、小説を書くのをやめてしまったんですか?」




私が低く言うと、先生は目を丸くした。



でも、何も答えてくれないので、私はさらに追い打ちをかける。




「この部屋には、パソコンもノートも筆記具もありませんよね?

書くためのものが何ひとつない。

それって、あなたが今は何も書いていない、ということを意味していると思うのですが」




なるべく丁重な言い方を保つように注意をしながら、でも、私の口調は徐々にきつくなっていく。




「………どうしてですか?

どうして、書かなくなってしまったんですか?」




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