花の下に死す
 「幾度体は一つになっても、心は一つになれないものでしょうか」


 義清が璋子の元に通い始めて、しばし時が流れた。


 その都度体を重ねても、璋子は決して心を開かない。


 義清をなすがままに受け入れ、熱い体が離れてしまうと……床の片隅でうつぶせになり泣いている。


 「あなたを悲しませるために、抱いているわけではありませんのに」


 そっと近づいて優しく髪を撫でても、璋子は泣くのをやめない。


 「璋子さま」


 それがまた愛しすぎて、強引に抱いてしまう。


 「もう帰って……」


 言葉では拒絶しながらも、体は受け入れてくれている。


 体だけならば物足りなくて、心も手に入れたいと義清は強く願った。


 愛してまではくれなくてもいい、せめてこの愚かな恋心をねぎらってくれるだけでも……。


 だがそれは、いつもむなしい期待に終わる。
< 62 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop