叶う。 Chapter2
会場に戻ると全部の演奏が終わったからか、何だか和やかな雰囲気だった。
もう暫く待つと、多分アナウンスで受賞者の名前が呼ばれるはずだ。
その地点で名前が呼ばれなければ、何の賞も貰えない。
例え呼ばれたとしても、最優秀賞なのか審査員特別賞なのか、準優勝なのかは分からない。
私は去年は、中学生部門で準優勝だった。
順番で言ったら、最優秀賞がグランプリで次が準優勝になる。
審査員特別賞はおまけみたいなもので、賞で言うと佳作みたいな賞になるので、最低でも準優勝が欲しいとは思う。
だけれどそれは私が決めれる事ではないので、結果はどうあれ名前が呼ばれたら、速やかに控え室に向かわないといけない。
手応えは充分あった。
だけれどそれは自分がそう思うだけで、他人からしてみたら大したこと無いのかもしれない。
貴賓席で大人しく座ってその時を待って居ると、隣に座っていたシオンが、突然私に自分の携帯を渡してきた。
私は何事かと一瞬訝しげに思ったけれど、それを受け取って画面を見た瞬間、大きく目を見開いた。
その画面には、その人物の経歴や、写真、今現在の職業等が事細かに載っていた。
「……これだけ有名だと、調べるのは容易いが。行動は慎重にしないと、こっちが喰われかねない。」
シオンは静かに前を向いたままそう言った。