叶う。 Chapter2
私は携帯の画面を見ながら、眉間に皺を寄せた。
シオンの言葉の意味をじっと考えた。
恐らくシオンは、獲物が著名人であることを一瞬で見抜いて調べたのだろう。
確かに著名人だけれど、私にしてみたらそんな経歴に傷をつけてやりたくて仕方ない。
小さな女の子にやりたい放題だったあの男が、人々から尊敬されるなんてあってはならない事だ。
だけれどシオンはどうやら私とは違う事を考えてたらしい。
相変わらず前を向いたまま、小さくこう言った。
「あの男とお前が関わっていた事が、世間に知られるのは好ましくない。」
私はその意味が良く分からなかった。
だってあいつは私を苦しめて虐待の片棒を担いでいたのに、私が言わなければ誰があいつの悪事を世に報せる事が出来るのか。
そんな私の気持ちを察知したのか、シオンはまた小さくこう言った。
「もう少し情報が必要だ。とにかく、お前は変な行動を起こすなよ。間違っても、本人とやり合おうなんて考えるなよ?」
シオンはそう言って、やっと私の視線を捉えた。
直接問い詰めて、追い詰めてやりたいと思っていた私は、シオンのその言葉に心底ガッカリだった。
だけれどシオンがそう言うなら、きっと下手な真似をしたら自分が後悔する事になるんだろうと思った。
シオンは馬鹿じゃない。
いつでも冷静だし、私よりも色んな意味で遥かに賢いのだから。