叶う。 Chapter2
ここはシオンに任せておいた方が良いのかもしれない。
多分、シオンは私よりも確実に相手を追い詰めて地獄を見せてくれるだろう気がした。
自分で相手を苦しめる事が出来ないのは残念だけれど、それでも相手が自分のした事を悔い改めるなら、それで良いのかもしれない。
私は携帯から視線を上げると、シオンの方を向いてその手に携帯を返した。
シオンは携帯を受け取ると、それをポケットにしまった。
そして釘を刺すようにもう一度、他の人には聞こえないくらい小さな声でこう言った。
「……感情的には絶対になるなよ。何があってもだ。例えあの男が接触してきたとしてもだ。分かったな?」
シオンの言葉に私も小さく頷いた。
それと同時に、会場にアナウンスが流れ始めた。
「ご観覧の皆様、出演者の皆様にお知らせ申し上げます。あと5分程で授賞式を開催致します。5分後に順次お名前を発表致します。お名前を呼ばれました皆様は、慌てずに控え室にお越し下さい。」
そのアナウンスに、会場はざわざわとし始めた。
私は椅子に深く沈み込むと、大きく息を吸い込んでネックレスのトップを握り締めて目を閉じた。
大丈夫、きっと大丈夫。
自分に言い聞かせるように、何度も何度も心の中でそう呟いた。
やるべき事は完璧にやりきった。
これで賞を貰えなかったとしたら、私にはそこまでの技量がなかったという事だ。
それくらい、自分の中では完璧だった。