叶う。 Chapter2
「アンナ、本当に良かった‼」
席を立つ私にママがそう言って、笑いかけた。
「アンナ、おめでとう。」
先生も何故か通り過ぎようとする私にそう声を掛けてきた。
まだグランプリが貰えた訳じゃないのに、何だか二人共とても嬉しそうだったので、私は良く分からないまま二人に「ありがとうございます。」を言って、シオンに連れられてホールを出た。
すると何故かレオンも一緒に着いて来た。
付き添いは一人だから、何故レオンが来たのか意味が分からなかったけれど、その答えはシオンとレオンがどうやら喫煙所に向かっている事で理解が出来た。
「去年の女の子、演奏ミス2回もしたんだぜ?」
喫煙所に向かう途中、レオンがそんな事を言い出した。
「……そうなの?」
「あぁ、しかもビックリするくらいな所でな。」
私はピンクのドレスを着たあの子を頭に思い浮かべた。
あんなに余裕がありそうな雰囲気だったけれど、やっぱり緊張していたのだろうか?
私がそんな事をぼーっと考えていると、直ぐに喫煙所が見えてきた。
私は中に入れないので立ち止まると、シオンが振り返ってこう言った。
「先に行ってろ。直ぐに行く。」
そう言われたので、渋々先に控え室に向かって歩いて行った。
なんだか仲間外れにされた気分だったけれど、タバコの匂いを振り撒きながら授賞台に上るのも嫌だったので、私は人も疎らな通路を通って控え室に向かった。