叶う。 Chapter2
それから暫くして、幼児部門の小さな子供達がスタッフと付き添いに連れられてステージに向かった。
それと同時に控え室の後ろの扉が開く。
相変わらず人を威圧するのには充分過ぎるほどの存在感を示しながら、シオンは真っ直ぐに私に向かって歩いて来た。
シオンが私の隣に静かに座ると、相変わらず大勢の視線を感じたけれど、シオンはもうあまり気にしていない様子だった。
「後どのくらいだ?」
隣に座るなり、無愛想にそう言ったシオンに何だかちょっと嫌な気分になったけれど、シオンがこの空間が嫌になる気持ちも分かるので、思わず苦笑いをした。
「多分、もう少しだよ。」
私がそう言うと、シオンは膝の上で指を組んで深く溜め息を吐いた。
その表情がすごくだるそうで、私はほんの少しシオンに同情した。
なんせ昨日寝てないのだ。
何をしていたのかは分からないけれど、人間寝不足だと物凄く身体が怠くなる。
私はそんなシオンに刺激を与えないように、大人しく自分の順番を待った。
それから10分くらい経っただろうか。
スタッフが中学生部門の受賞者は、ステージに向かうようにと呼びにやって来た。
シオンはさっさと立ち上がると、私に手を差し出した。
私はシオンの手に自分の手を重ねて、ゆっくりと席を立った。
なんだかんだ言っても、シオンのこういう仕草は育ちの良さを感じずにはいられない。