叶う。 Chapter2
あれだけ欲しかったグランプリだったのに、今あの男がこの場所に居なければ私はもっと喜んだだろう。
私が情緒不安定になっている間に、他の二人の授賞も無事に終わったようだった。
他の二人は違う審査員から、各々トロフィーと花束を受け取ったので、多分あの男はやっぱり審査員の中でも偉いんだろうと思った。
去年のグランプリをとったあの女の子は、まさかの審査員特別賞だった。
ほんの少しのミスで、こんなにも賞をとることが難しいのなら、やっぱり私の努力は無駄じゃなかったんだと思った。
死ぬ気で頑張ったからと言って、簡単にとれるものじゃないのだと改めて感じた。
「それでは、これにて中学生部門の授賞式を終了致します。授賞者達にもう一度大きな拍手をお願い致します。」
私達は盛大な拍手にもう一度会場に一礼し、係員に誘導されて舞台の手前の階段を降りた。
階段の下で、シオンがいつもと変わらない表情で私を待っていた。
「…良くやった。」
私が近付くとシオンは冷たくそう言って、片手で私を抱き寄せた。
そして私からトロフィーを受け取ると、そのままホールに向かった。
私はシオンの腕に掴まりながら、小さな声でさっきの出来事を話した。