叶う。 Chapter2
入れ替わるつもりはないけれど、万が一何かのきっかけであの子が目覚めたら、一体あの子はどうするのだろうか?
多分あの子がまた戻ったとしたら、喜んで受け入れるのはシオンくらいだろう。
だけれどあの子はあの日の記憶があれば、シオンを拒否するはずだ。
ママやレオンですら、きっと私の方が扱いやすくて楽だと思うに違いない。
だったらずっとこのままで居てあげた方が、あの子は幸せなのかもしれない。
私はふとそんな事を考えた。
人の幸せなんて、その人にしか図れないものだけれど、1つの身体に二人の人間が存在するならば、その幸せはきっと2通り在るんだろう。
私はそんな事を考えながら着替えを済ませると、鏡台に座って髪とメイクを直した。
あの子の事が嫌いかと聞かれれば、好きではないと答えるだろうけれど、全てが終わって私が存在を消したらあの子はきっと酷く戸惑って、壊れてしまうかもしれない。
そう思うと、ほんの少しだけあの子に同情した。
支度が済むと、私はソファに置かれた鞄から携帯を取り出した。
食事に行く前に、和也に電話をしておこうと思ったからだ。
だけれど携帯には、メールを知らせるランプが点滅していた。
受信されていたメールは2件で、私は順番にそのメールを開いた。