叶う。 Chapter2
私は電話口を押さえて″はーい″と返事をした。
すると扉を開けたママが、ジェスチャーで出掛けるという雰囲気だったので、私は和也にそれを伝えた。
「ごめん、今からご飯食べに行って来るから、後で電話しても良い?」
″りょーかい、俺もまだ親父の店だから家帰ったらメール入れるよ!ご飯いっぱい食べておいで。″
「うん!じゃあ、また後でね。」
私はそう言って電話を切った。
「ごめんねアンナ、電話中に。そろそろ食事に行って今日は早く休まないとね。」
ママは申し訳なさそうにそう言ったけれど、私はにっこりとして首を振った。
「リビングで待ってるわね。」
ママはそう言って行ってしまったけれど、その顔は何だかいつもより疲れていた。
きっと早く食事に行って休みたいのだろう。
ママは若いけれど、普通の人よりは毎日が遥かにハードスケジュールな事を私は知っている。
そうじゃなければ、これだけの生活を維持する事も、双子や私の世話をする事も、出来ないはずだ。
いくらお手伝いさんが居て、私がある程度お手伝いをしても、ママはそれ以上にやる事が沢山あるんだろう。
それでもママはいつも綺麗だし、きっちりとしているので、あくまで想像だけれどきっとママは幼少期の育ちが良いんだろうと思う。
そうでなければ、双子をきちんと教育する事は出来なかっただろうし、何も出来ない私をここまで教育する事も出来なかっただろうと思う。
私はほんの少しだけ、ママの過去が知りたくなった。