叶う。 Chapter3
ママは相変わらず綺麗だった。
だけれどその顔は酷く疲れているように見えた気がする。
一瞬だったから分からないけれど、ママは凄く痩せてしまったんじゃないかと思った。
この1年家族の幸せを願って生きてきた私には、それはとても悲しく感じた。
私が平凡な毎日を過ごしている間に、きっとママ達は凄く大変な日々を過ごして来たんだと分かってしまったからだ。
こんな場所で、毎日を過ごすのはどれだけ大変だったんだろうと思った私は、酷く打ちのめされた気分になった。
だけれどそれを表情に出すことも、感情的になることも、今の私には出来ない。
目の前に並んだ豪華な食事にすら、一切手を出せる気分じゃなかった。
だけれどそうも言ってられない。
全員が各々に食事を採り始めると、私は仕方なく丁寧に並べられた一番端にあるスプーンを手に取ると、目の前にあるスープを口に運んだ。
毒でも盛られてるんじゃないかと思ったけれど、それは至って普通のスープだった。
黙々と皆が食事を採るなか、双子の父親だけはワインを口につけては適当な物をつまむ程度で、時折ママやシオンやレオンに視線を向けていた。
それは何だか監視しているようで、気味が悪かった。