【完】狂犬チワワ的彼氏


まさか直樹がそんな行動をとるとは思わなくて、急な展開に内心あたしはどうしていいかわからなくなる。


だって…拓海くんとまた二人とか、心の準備だって出来てないし。

それに、どんな顔をしていいかもわかんないままだし。


どうしよう…どうしようっ…。




しかし、そう思いながら直樹達の方にチラチラ視線を送っていたら、ふいに拓海くんがあたしに言った。



「妃由はどれが良い?」

「えっ…え!?」

「バーベキューの肉」

「…あ、」



そう言って、チラリとあたしに目を遣る。

拓海くんが冷静だから、何だか独りで慌てている自分が恥ずかしい…。

あたしはそう思いながらも、適当に目の前にある鶏肉を指差して言った。



「じゃあ、コレ!コレがいい、」



あたしが凄くドキドキしながらそう言うと、拓海くんはその鶏肉をカゴの中に入れる。

「ウインナーも欲しいよな?」って続けて言うから、あんまりウインナーが得意じゃないくせに頷いてしまった。



「う、うん…そうだね」

「…、」



でも、あたしがそう言って落ち着きを無くしていると…拓海くんが、ふいにあたしの方を向いて言う。



「…妃由さ、」

「!」


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