【完】狂犬チワワ的彼氏
でも…
「外、雨降ってんぞ」
「!」
拓海さんはそんな言葉を付け加えると、俺の横を通り過ぎて階段を上って行った。
…雨?
その言葉に靴を履いて外に出てみると、外は酷くはないけど本当に雨が降っていた。
……でも、俺はそんなことは気にしないし。
むしろ雨が降ってるなら早く行かなきゃいけない。
俺は玄関に立ててあるビニール傘を取り出すと、早速“猫”がいる場所に向かった。
…………
猫がいる場所は、家から5分ほど歩いた先にある駅前の近く。
ずっと前から子猫が捨てられていて、本当は構っちゃいけないのに何だか放っておけなかった俺は、実は決まった時間になるとこうやってこっそりエサをあげに行っている。
そして今日もそこに行くと…
ニャー
「!」
…居た。
グレーの、全く首輪もしていない元気な子猫が。