【完】狂犬チワワ的彼氏
『妃由には木塚がいるし、これ以上妃由に迷惑もかけたくない。
だから、俺の告白は無かったことにして考えてくれていいよ。その方が、お前もラクだろ?』
そう言うと、優しい声で笑う。
…どうして?
それじゃあ、絶対直樹が辛いはずで…。
だって、勇気をだして告白してくれたのに、きっと…。
だけど、今のあたしには直樹のそれを止める理由もないから、無かったことにする前に、一つだけ問いかけた。
「…じゃあ、一つだけ、聞いてもいい?」
『なに?』
「直樹は、あたしのどこを好きなの?」
あたしはそう問いかけると、静かにじっと直樹の答えを待つ。
それだけでも、知りたい。
やっぱ、顔…なのかな?
そう思っていたら、しばらくして直樹がやっと口を開いて言った。
『………雰囲気、かな』
「え、」
『俺、妃由の雰囲気好きだよ。一緒にいて癒されるっていうか。
まぁお前は我儘とか結構言う方だし、ナルシストだけど…でも、俺は、お前と一緒にいる空間が好き』
そう言うと…やがて、「っつか、切るぞ」ってさすがに恥ずかしくなったのか、直樹がそう言って電話を切ろうとする。
「え?あ……うん、」
……雰囲気、か。