満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
あと数ヶ月で研修期間が終わる
これからの事を担当医との面談がある。
大抵の人は、この大学病院に残り希望するところへ配属になる。
「前島は、残るんだろ?しかも救急か?」
誰もがみんな私が救急に行くと思っているんだ
けど、私は行きたい病院がある
『私、東和病院を志望します』
私の言葉に担当医は驚いている
「前島、お前あそこがどんな病院かわかってるのか?あそこは何でも受け入れる……だから、今以上の技術や経験を得られる……だがな、あそこはヤクザ御用達なんだぞ?」
……知ってるよ、そんなの。
康太が入院していたし
先生とだって話したもん。
『知っています……私はもっと経験を積みたいんです』
「前島はどこの担当医もお前を欲しがるんだぞ……」
『はい、お誘いは全てお断りしています』
「お前……東和病院には話してあるのか?」
『いいえ、これからです』
「は?……断られたらどうすんだよ…」
『……あ、その時考えます…あはは』
断られるなんて考えていなかった自分に笑ってしまった。