別に好きになってねぇから。

「…はぁ」



綾崎くんの溜息が聞こえる。


綾崎くんからの悪口はもはや日常茶飯事のことなのに毎回毎回ショッキングな反応な私をみて綾崎くんは呆れ顔だよね。



…一緒にいて普通に楽しいからなんて綾崎くん言っていたけど


泣き顔の私に気遣ってくれたんだろう。



毒舌な綾崎くんに一々メンタル面傷ついててこんなにも面倒な私と一緒にいて楽しいなんて有り得ない。






「…お前さ。待ってるんだからさっさとこっち来いよ」




…えっ!?



綾崎くん貴方はどうしてそんなに不意に優しくなるんですか。



ショッキングな私は瞬く間に何処かへエスケープして



「うん!」



笑顔になった。



綾崎くんやっぱり貴方は優しい人です。




そして綾崎くんと私は帰り道が同じ方向なので話しながら一緒に帰った。



他愛のない話をする私に綾崎くんは「あっそ」とか「へぇー」とか適当に返してたけど。




結子が言ってた様に私の頭部は桜満開だよ────…



嬉しい気持ちって高揚してばかりだよ。






翌日。




「大雨暴風うざい。消えろ」



「…結子~。早くテスト終わらないかなぁ!デートデート!綾崎くんのお母さん美人なのかなぁ~」



「まだテスト期間でもないのに。アンタもうざい風に吹き飛ばされろ」



結子さーん!



元気ですかー!?



大雨で心の中も土砂降り、そんなことなってませんか?


それなら傘貸しますよ!


「夕槻早く前でて。耳がキンキンするよ」




隣の席の爽やか系イケメンって有名な学園でイケメンレベル綾崎くんの一個下でそれなりに端正な容姿らしい中学の時の腐れ縁のあいつ、小槇 柚希(こまき ゆずき)。



どう考えても女の様な名前で何処が爽やか系なのか私にはさっぱりピーマン。



「なになに?綾崎くんと私の話聞いててヤキモチでも妬いた?」



「…そっ!そんなことねぇよ!ゆ、夕槻頭打った?」


は?


頭打ったのは小槇じゃん。


昼休憩。


私が綾崎くんに今度こそは美味しい普通のタコさんウインナーや玉子焼きといったありきたりなのが詰まった弁当を持っていって綾崎くんとお弁当を食べていたらWC(お手洗い)から戻ってきたのか小槇は教室のドアをくぐろうとしたら頭ドアにぶつけていた。



私はその時そのドアの目の前にいて、思いっきり小槇と目が合った。



本当目が合うなんて、今日不運になりそうな気がする。



私も頭ドアに打ったりして。



「小槇も澪も好きな人と話せたからってニヤケすぎ。いい加減その顔気持ち悪い、ニヤけるなら鏡の前でして。澪はさっさと教壇行け、綾崎待ってるよ」




結子がそう言うから教壇の方をふと見る私。



綾崎くん!


遠足について男子とは思えぬ綺麗な筆跡で、黒板に書く。



顔もきれいなのに字まで綺麗なのね!そうなのね!


夕槻先生、綾崎くんの漢字練習帳に花丸してあげるわ!


っておい。



委員会の仕事を綾崎くん一人に任してるじゃないか。



「はいはいはい!綾崎くん!私が書く!書きたい!」


私は教壇の方へ手をあげながら走り向かった。



「あ、ここ漢字間違えたからついでに消してて」


あらら、漢字間違えたの?



そしたら花丸じゃないじゃない…、夕槻先生残念 無念 また来週~って感じよ。



「…なにが来週?ドラマ?」


綾崎くんは私の心を透視できるエスパーの様です。



私はいえいえなんでもないです!と笑い答えながら黒板消しで綾崎くんの綺麗な字で夕と書かれた漢字を消そうとする。



夕…。


これって夕槻先生の夕じゃないか!☜いつまで先生って名乗るんだよ。




綾崎くん私のことを考えててまさか漢字のミスをしたの?



…っていやいやまさか。




「…届かないの?」




「へっ!?」



「…わりぃ。届かないのに任して」



ふぁ!?


後ろを向くと綾崎くんがいて私は綾崎くんの胸に顔面埋まってます。



そして私が持ってた黒板消しをいつの間にか奪ってて綾崎くんは夕って文字を消している。



お~の~!



きょ・う・し・つ・な・う!だから綾崎ファンに見られたらお終い!




きっと放課後、生卵を女子Aが投げバットで女子Bが打ちその生卵が私の顔面に激突することだろう、やっぱり小槇と目が合ったから不幸になるんだ…。


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