あなたに恋してる

ちょっと、呼び捨てにされて嬉しかったりする…

クスッ。

でも、素直になれない私は…

「入るわよ…」

なんて可愛気がない。


重層の扉を開けお店の中に入るといつもの席に…

すると当たり前のように隣の席に座る真斗。

「2人ともいらっしゃい…今日は会えたみたいだね」



「マスター、今日はって…『ビールください』」

マスターに話かけた私の言葉を遮る真斗の声にマスターは苦笑していた。

「美雨ちゃんは?」

「同じで‥」

いつものように『了解』と返事して行ってしまった。

「ちょっと人の会話の邪魔しないでよ」

「……お前が話終わるの待ってたら飲みたいビールがこないだろうが」

はぁ(怒)

ムカつく。

少し、気になっただけじゃん。

「はい、お待たせ」

キンキンに冷えたビールが目の前に現れる。

ゴクンと喉が鳴る。

とりあえず文句より目の前のビール。

グラスを持つと横からグラスを持った真斗の手が伸びてきて、カチンとグラス同士がぶつかった。

「お疲れ…」

「…………お、お疲れさま」

ふと見せる微笑みに心が持っていかれ、
きゅんと高鳴る鼓動。

私、どうしたんだろう。
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