Love nest~盲愛~

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「えな様」

「……はい」

「今宵の食事は外食になさるそうです」

「外食?……分かりました」

「17時半に白川が迎えに参りますので、それまでにお支度の準備を」

「え?……私もですか?」

「はい」

「……分かりました」


今井さんから伝言を受け、彼なりの気遣いなのだと理解した。

『ありがとう』の代わりに外食に連れ出す。

普段、彼からの許可が無ければ屋敷から出ることも許されない身だから。

それでも、久しぶりの外食とあって、ほんの少し心が弾む。

**

17時過ぎ。

彼が似合うと言った『白』を基調とした装いに仕上げて、髪はハーフアップに纏めバレッタでそれを留めた。

メイクは薄めにして、彼が用意したと思われる香水をつけて……。

以前、首筋に咲く赤い薔薇をストールで隠したら、機嫌を損ねてしまった。

羞恥心で隠してしまったのだけれど、彼との生活をする上では羞恥心は捨て去らなければならないと、その時悟った。

だから、沢山の赤い薔薇が咲き乱れようとも、もう隠そうとは思わない。

使用人たちの視線も殆ど気にならなくなった。

習慣って、時に恐ろしくもある。


袖がシースルーになっているシフォンのワンピースで、ハイウエストの切り替え仕様。

プリーツタイプのスカートは膝より少し長めで全体的に上品な雰囲気。

首筋の赤い華を引き立たせるように、あえてネックレスはせずに、揺れるタイプのシンプルなピアスだけつけて。


コンコンコンッ。


「はい」

「えな様、迎えの車が到着しました」

「分かりました」

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