Love nest~盲愛~

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「もうお仕事は、宜しいのですか?」

「帰宅したら、またする」

「……そうなのですね」


食事を終え、彼は会社へと戻るとばかり思っていたら、同じ車に乗り込んだ。

お酒を口にしたからだろうか?

私の隣に座った彼は腕組をして、目を閉じた。


「スマートフォン、ありがとうございました」

「……ん」


お礼を言うのを忘れていた。

車内に残しておいた空き箱を目にして思い出した。

**

家に到着し、車から降りると、白川さんの手に彼のビジネスバッグが視界に入った。


「私が預かります」

「宜しいのですか?」

「はい」


私の声に反応するように彼がチラッと視線を寄こした。

けれど、何かを言うでもなく一瞥しただけ。

しかも、そのまま玄関の奥へと歩き出した。

その彼を追うように彼のジュラルミンケースを手にして後を追う。


彼の部屋の前まで来ると、いつもならパタンとドアが閉められるのに、今日は開けたままになっている。

入ってもいいのかしら?


「失礼します」


室内を見回しても彼の姿がない。

シャワーでも浴びに行ったのかもしれないと思い、ジュラルミンケースをソファーテーブルの上に置いた、その時。


「ッ?!」


背後から抱き締められた。

もちろん、彼に。

煙草の香りとアルコールの香りがふわっと鼻腔を掠めた。


「シャワーを浴びたら、部屋に来い」

「………はい」


耳元に甘く痺れるようなバリトンボイスで囁く彼。

毎日聞いていて慣れているはずなのに、その声音に胸が擽られる。

何度聞いてもときめいてしまって……。

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