Love nest~盲愛~
彼はいつものようにブランデーを楽しみながら、ノートパソコンと書類を眺め、仕事をしていた。
既にパジャマ姿の所を見ると、お風呂を済ませているようだ。
彼の為にチェイサーを作り、静かに彼の仕事姿を見つめていると、程なくして彼がパソコンを閉じた。
「もう宜しいのですか?私にお気遣いなく、お仕事して下さい」
「いや、もういい」
彼に気を遣わせてしまったようだ。
キリがよさそうには見えなかったのに……。
ソファーの背もたれに身を預けるように深々と座った彼は、グラスを回して香りを楽しむ。
そんな彼をじっと見つめていると、グラスに視線を置いたままの彼が口を開いた。
「何か、……悩み事か?」
「っ……、何でもお見通しなのですね」
「フッ、俺を誰だと思ってる」
やはり完全に見透かされているようだ。
何もかも見抜いてしまいそうな鋭い視線が向けられる。
逃げることも隠れることも許されない、そう悟っている私は、意を決して尋ねる。
「私の事をどこで?」
「……どこ……」
「いつから……?」
「……いつ……」
彼は視線をグラスに戻し、ブランデーを口に含む。
「それを聞いてどうする」
「どうする……ですか」
質問を質問で返された。
答えたくないのだろうか?
それとも、答えられない理由があるのか。
「では、質問を変えます。『西賀 哲平』という名前は、本名ですか?」
「……あぁ」
「身分証明書を見たいと言ったら、見せて貰えますか?」
「何故、気になる?俺が何者なのか、知りたいのか?」
「………はい」
「フッ、……いいだろう、見せてやる」
彼は財布から運転免許証を取り出し、それを差し出した。