Love nest~盲愛~


父の会社を専務であった叔父が引き継いだのだが、経営の才能は皆無だったらしく。

あっという間に会社は傾き、その年の暮れに会社は倒産に追い込まれた。


後になって噂で耳にしたのだが、叔父は父の会社の特許技術を悪用していたらしい。

それは、父が長年苦労して出来た技術だったのに……。


今更どうこう言っても仕方がない。

父親の会社は人手に渡り、私は家族も帰る家さえも失って。

あるのは、この健康な身体だけ。


大学を中退し、アルバイトをして頑張ってみたけれど、温室育ちの私には当然厳しい世界だった。


あれこれ必死に頑張ってみたが、到底1人で生きて行くのは困難を極めて……。

父親に買って貰ったブランド物や装飾品を売り払い生き延びていた。


だがそれも、モノが尽きれば終わりが訪れるのも容易な事で。

結局、アパート(寮)完備のキャバクラで働く事を決意した。


それがこの店『violet』


専属ヘアメイクが常駐し、セット代1000円、ドレスに至っては1回500円で借りられる。

時給は他に比べてちょっと低目だけど、その他諸々を考えたら決して安くは無い。


それに売り上げをきちんと伸ばせば、相部屋(寮)でなく個室を割り当てて貰えるらしい。

こんなに恵まれている店は他には無い。


しかも、研修期間1週間というのがあり、素人でも解りやすく指導して下さると言うのに乗った。

だから私は躊躇う事無く、ここに決めたのだけど。



なのに、何故?

私の人生って、どこまで堕ちたら気が済むの?


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